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執筆者の写真L'escargot Design

オリーブグリーンってどんな色? 人によって違う、色のイメージ



普段、何気なく口にする色の名前。


わかったつもりで話していても、人それぞれで思い浮かぶイメージが違っていることがよくあります。その場で済んでしまうような雑談なら良いのですが、同意や確認が必要な場合は要注意。


以前、仕事仲間からの依頼で実際にあったやりとりを例に、見ていきたいと思います。



「発色の良いオリーブ色」ってどんな色?


依頼を受けたのは、年賀状でした。最初に背景色としてリクエストされたのが、グリーン。




ところが、割と大きめの面積で赤い部分もあり、背景をグリーンにするとクリスマスぽい配色になるかもしれない。それを説明したところ、それでは「発色の良いオリーブ色」にしてほしい、ということになりました。




発色の良い、というと、色がよく出ているということですから、普通は鮮やかな印象にしてほしい時によく言われる言葉。すると、オリーブ色のイメージとは少し離れてしまい、また、発色の良さを優先すると、赤との配分からやはりクリスマスに寄ってしまうかも。


あれこれ言葉だけでやり取りしているより、百聞は一見に如かず。まずは一般的なオリーブグリーンを少し明るめに、「発色の良い」を「はっきりした色」と解釈して調整し、見ていただくことにしました。




返ってきたのは案の定、「くすんでいる」ので変えて欲しいとのお返事でした。



オリーブグリーン=「 “暗い” “灰み” の黄緑」


JISには色を体系的に表現する物体色の規格があります。これは人によってイメージに幅がある色名について話す時に、とても便利な規格です。


その規格によると「オリーブグリーン」は「暗い灰みの黄緑」。(画面上で見え方も違うので、多少の誤差はご容赦いただいて)下のような色です。







「暗い」「灰みの」ということは、そもそもくすんだ色ということ。


これを少し明るく、色味を出してはっきりさせてみたのですが、

イメージと違っていた模様。頭に描いた色は、くすんでもいず、また、どうやらあまり黄色味がかっていなかったらしいということがわかりました。


「オリーブ色」と「オリーブグリーン」の差もありますが(ここでは前提でグリーンというリクエストがあったためグリーンを基準にしています)どちらにしろ、少しくすんで、黄味がかっています。


でもそれを一旦忘れてみると、実物のオリーブが木になっている状態を思い浮かべたのであれば、太陽の光も当たってもっと明るいイメージです。太陽光に照らされたオリーブと、お皿に盛られてオイルがかけられたつやつやのオリーブは、また違います。



色名であるオリーブ(グリーン)と「オリーブ」の色。そもそも何を語っていたのか、対象が違っていたということかもしれません。

色のイメージには差があることも多い


そのあとまた少しいろいろな色を見てもらってやりとりし、クリスマスのイメージになるのを避けて明るすぎず、かといって暗すぎない、そこそこはっきりとした程よい感じのあまり黄味の強すぎないグリーンに落ち着きました。


このように、色名に持つイメージは人それぞれ。


オリーブのように具体的なものがついた色の場合でも、思っているものが違うので、意外と曲者です。


他に、最近ネット上で話題になった「カーキ」のように、多くの人が勘違いして、半ば定着しているような色もあります。


色を指定する時は、適宜、見本をつけたりすると、相違が起きにくく、すりあわせがしやすくなると思います。

またヒントとなる形容詞は全体のイメージの方向づけの助けにもなります。


ただ、見本として写真をつけると、それはそれでまた違った課題もあります。そちらのお話はまたの機会に。


また、配色する時は、その色単体ではなく、周りの色の影響や面積など、他の要素を考えることも大切です。



左がカーキ、右はベージュ


 

※このコラムは、2020年1月22日掲載「マイベストプロ東京」藤原ユカコラムより加筆修正して移行しました。




 

レスカルゴデザインオフィス 藤原ユカはデザインや販促の専門家として専門家派遣事業に登録しています。業務案内やパンフレットをつくりたい、新商品のパッケージをつくりたい、ロゴを考えたいなどのほか、ご希望に応じて、複数のツールの使い分けやSNSの導入など、総合的なアドバイスも合わせてさせていただきます。通常のご依頼のほか、こちらもぜひご利用ください。

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